建築物のアスベスト対策を検討する中央環境審議会の小委員会は10月21日、ある一定規模以上の建築物を解体する場合、
工事前にアスベストの含有調査の結果を都道府県に報告するよう各工事業者に義務付ける答申案を示しました。
答申案は年内に正式に答申する予定で、政府は来年の通常国会で大気汚染防止法(大防法)改正案の提出を検討しているそうです。
アスベストは現在使用が一部の作業を除き、原則禁止されています。
しかし、以前は建築物の梁への吹き付け材と使用したり、配管等に断熱材として使用されていました。
大防法は、建築物にアスベストが含有しているか事前に調査を行い含有が認められれば、解体時に各都道府県に届け出るよう義務付けています。
しかし、使用部材を資料や図面のない古い建築物等では、アスベストの含有調査が不十分なまま解体してしまうケースも多数ありました。
背景として工期が短いことや、予算の削減・不適切な営利目的、必要書類の届け出が煩わしいといったことが挙げられます。
各都道府県・市町村においてもかなりの意識の格差があり、事を荒立てたくないという役所の姿勢そのものにも問題があると感じます。
また現状の法規では、届け出義務違反などほかの関連規定で罰則適用されても最大でも6か月以下の懲役または50万円以下の罰金にしかなりません。
そもそも罰則そのものが適用されるケースも稀です。
答申案では規制対象を拡大して、一定規模以上の建築物を改修・解体を行う場合、全ての建築物において事前含有調査をするように義務付け、アスベストの有無に関わらず報告を求める方針です。
これまでは対象外とされていた大気中への飛散の可能性が比較的低いとされるアスベストを含むセメント板なども対象とするそうです。
この答申案の可決を切っ掛けに世間のアスベストへの関心と、粗悪な工事へのより厳しい目が向けられる機会になることを切に願うばかりです。