建築物の改修工事や解体時に飛び散る建材粉塵には、アスベストが含有している場合があります。
それに伴い厚生労働省は、アスベストによる健康被害を防ぐ為に規制を強化する方針を固めた。
現在は大規模な建築物の改修工事や解体(主に公共工事)などを中心に、事前に労働基準監督署への届け出を義務づけています。
この届け出対象を一般住宅の多くにも広げ、建材粉塵の飛散防止対策に繋げることが目的です。
12月3日にあった厚労省の有識者検討会で、現在の制度を見直す案が大筋で了承されました。
大気汚染防止法を所管する環境省と調整した上で、来年度にも実施することを目指しているようです。
現在の規制では、建材にアスベストを直接吹き付ける等、主に飛散しやすい建築物の工事について工事前の届け出を義務づけており、工場や大型施設等が中心でした。
これに対して新規制ではアスベストを含む建材を使っているかこと関わらず、届け出の対象を解体工事なら床面積80平方メートル以上、改修工事なら請負金額100万円以上の工事に拡大します。
アスベストの有無を事前に原則現地で調査をし、その結果の提出も義務づけるとのことです。
規制強化によって戸建て住宅の解体だけでなく、部分的な改修といった工事も対象になる見通しです。
届け出件数は2018年では約1万3000件でしたが、新規制のもとで200万件超に増えると厚労省は試算しています。
これまでも届け出の必要がない工事でも、建材にアスベストが含まれるかを確認し、飛散対策をとるよう求められていましたが、対策が徹底されておりませんでした。
その為、制度を悪用した極めて悪質な業者が後を絶ちません。
新規制を受けて工事業者によっては工期が長期化され、工事費用が値上がりしたりする可能性があります。
アスベストを使った古い建築物の解体工事は、ピークとされる2030年ごろに向けて増えると予想されています。
空き家対策でもアスベストの処理が課題になると予想されます。